2008年3月30日日曜日

風の歌、星の口笛



村崎友さん「風の歌、星の口笛」
SFはあまり読まないのですが、SFミステリーということでなかなか面白く読めました。
私立探偵が少女から「コンピュータによって生み出されたクマのペットを生き返らせる依頼」を受けるお話、地球と同じ環境の人口惑星に瀕死の状態の地球再生のために250年かけてたどり着いてからのお話、交通事故から退院すると恋人の存在が「自分の記憶」を除き一切消えていたお話、未来の3つのストーリーが平行して描かれています。
交わることのないストーリーのようですが、最後に3つのストーリーのつながりが明らかになります。
少し物悲しさをもって…。
なんとなく手塚治虫先生の「火の鳥」を思い出しました。

2008年3月23日日曜日

TENGU(てんぐ)



柴田哲孝さん「TENGU(てんぐ)」
26年前の群馬県小さな村で発生した連続殺人。被害者は人間業を超えた壮絶な殺され方であった。
村では天狗の仕業とのうわさも流れたまま、事件は迷宮入りに。現在その事件の真相が当時事件に関わった新聞記者の執念と、DNA鑑定などにより暴かれることに…。
アメリカ軍、ベトナム戦争の関連、村の悲しい歴史、そして美しく悲しい謎の女性「彩恵子」の存在。
一気に読ませる小説です。面白かった。

2008年3月16日日曜日

流星の絆



東野圭吾さん「流星の絆」
さすが東野先生、すばらしい小説で一気に読んでしまいました。
両親を惨殺された、3人兄妹の復讐劇と書くと、「白夜行」のようなクライムノベルのように思われますが全く趣は違います。あったかい気持ちになります。
そしてラストに涙と帯にもありましたが、僕は両親が殺される幼少の頃のストーリーに涙しました。
両親に隠れ3人で真夜中に流星群を見に行った間に両親が殺され…。深い兄妹愛が胸を打つ小説です。
近いうちにドラマ化されそうな予感もあります。そのときは原作に忠実にドラマ化してほしいなぁ。
(白夜行は小説とドラマが別物になっていたので…)

2008年3月8日土曜日

ラストソング



野沢尚さん「ラストソング」
博多のロックスターのシュウ、天才ギタリストのかずや、そしてマネージャーのリコの3人の軌跡をつづった青春小説。
この歳になると青臭さが鼻につくストーリーではあります。高校生位なら、もっと感情移入できたのかも。
でも、ドラマのようにスラスラ読めちゃうあたりは、さすが野沢尚さんです。
「破線のマリス」以前に書かれたそうですが上手いですね。
本当に惜しい人を亡くしました。もっと野沢尚さんの小説を読みたかったです。

2008年3月2日日曜日

隠蔽捜査



今野敏さん「隠蔽捜査」
警察官僚の竜崎。「東大卒以外は大学ではない」など、エリートたる高飛車な意識満々の主人公。絶対に、友達になれないイヤなヤツ。家族からは、一般の感覚が欠如していると思われ、他の官僚からは融通のきかないやつと見られ、「変人」と言われている。
だが、竜崎の心には、「エリートは国家を守るため、身をささげるべきだ」という考えがあり、その考えを元に行動しているだけである。
現職の警察官による連続殺人事件を「事件の迷宮入り」として隠蔽を画策する警察官僚と対決していく姿、息子の不祥事をもみけさず自首させる姿、正義を貫く官僚です。
こんな官僚ばかりだと、もっと世の中よくなるのになぁ…。