2007年11月25日日曜日

明日の記憶



萩原浩さん「明日の記憶」
若年性アルツハイマーの主人公が、記憶を失われてゆく日々が綴られています。
仕事のこと、家庭のこと、抗っても病気は進行してゆきます…。
テーマがテーマだけに重苦しい展開になるのか、映画化されたのでお涙頂戴のお話かと思っていましたが、そうではなく淡々と話は流れていきます。それが逆に素晴らしい…。
悲しいながらも美しいラストが印象的でした。

2007年11月17日土曜日

黄昏のベルリン



連城三紀彦さん「黄昏のベルリン」
自分のことをイタリア人と日本人のハーフだと信じて生きてきた40歳の画家・青木優二。
彼は、美しいドイツ人留学生の女性・エルザから「第2次世界大戦中、ナチスの強制収容所でユダヤ人の父親と日本人の母親の間に生まれた赤ん坊があなたです」と伝えられる…
そして、東西冷戦の頃のベルリンを舞台に国際陰謀に巻き込まれていく。
むちゃくちゃ面白いスパイ小説です。傑作です。

2007年11月11日日曜日

十八の夏



米原百合さん「十八の夏」
花をモチーフにした4篇の連作ミステリー。
好みは分かれると思いますが、個人的にはちょっと切ないお話「十八の夏」と、心がほっこりとあったまるお話「ささやかな奇跡」がよかったです。

2007年11月4日日曜日

硝子のハンマー



貴志祐介さん「硝子のハンマー」
ちょっと怪しい「防犯コンサルタント」と女性弁護士のコンビによる本格推理小説。
貴志さんの小説はホラー要素や、感動があったり、人間の心理がうまく描かれたミステリーが好きで全て読んできたのですが、この小説は僕にはもうひとつでした。
すごいトリックということですが、トリックの解釈も専門的で長くて飽きちゃいました。
後半の犯人の人生のくだりのほうが読み応えありました。
本格推理が好きな方にはお勧めなのでしょうが…
やっぱり本格推理は僕にはあわないのかなぁ。