2008年7月30日水曜日

僕の行く道



新堂冬樹さん「僕の行く道」
小・中学校向けの児童小説みたいでした。
小学3年生の男の子が1人でお母さんに会いに行くお話し。その道程でいろんな人に会い助けてもらい、素直な心で出会った人たちを癒していく。そして切ないけど爽やかな結末。
ありがちなストーリーではありますが、素直に感動しました。
登場人物がよい人ばかりで、よい意味で心洗われました。

2008年7月26日土曜日

氷の華



天野節子さん「氷の華」
よく出来たミステリーです。
セレブの専業主婦「恭子」に突然、夫の不倫相手から「子供が出来たので別れてくれ」と電話がかかってくる。さらに恭子のことを「ビアグラスを冷やすことが出来ない家事の出来ない女。わがままで不妊症…」と罵倒しまくった。恭子はその不倫相手を毒殺するところから物語は始まります。
恭子を地道に追い詰める刑事と恭子の駆け引き。思わぬ方向にストーリーは流れていきます。
恭子のしたたかさと結末の意外性がとても面白い小説でした。
ドラマ化されるそうですが、恭子役が米倉涼子というのははまり役ですなぁ。

2008年7月11日金曜日

クローズド・ノート



雫井脩介さん「クローズド・ノート」
どこかで聞いた題名だと思っていたら、エリカ姫の「別に…」記者会見の映画の原作だったのですね。
雫井さんの小説はミステリーだけじゃなく、こんなあったかいお話もあったんですね。ちょっと意外ですが、実のお姉さんのことをモチーフに書かれたらしく素直に感心しました。
女子大生「香恵」が自分の部屋の押入れから前の住人であろう小学校の新人女教師「伊吹先生」の日記を見つけ、その内容に感動したり、励まされたりしていくストーリーです。
香恵ちゃんの天然ぷり(万年筆の試し書きで「人間国宝」と書いたくだりが特に笑えた)がかわいく、また伊吹先生と香恵ちゃんの性格のよさがよく出ています。
ありがちなストーリーかもしれませんが、ほろっとしちゃいました。心温まる小説です。

2008年7月3日木曜日

永遠の咎



永瀬隼介さん「永遠の咎」
池袋の無認可保育所に子供を預けるクラブのホステス「綾乃」、ヘルス嬢「聖子」、落ちぶれた中年ホスト「貞男」、そして綾乃の夫を殺し出所してきた「轡田」が絡むストーリー。
轡田が綾乃にまとわりつき、聖子の子供の死、貞男の凋落ぶり、どろどろとしたサスペンス調の話から、ラストにかけてはジェットコースターのような急展開、そして悲しい事実とラスト。
他の登場人物も皆際立っていて、圧倒的に読ませる力作です。