2008年1月26日土曜日

償い



矢口敦子さん「償い」
仕事ばかりで家庭を顧みず、子供を死なせ妻を自殺に追いやってしまったエリート医師。医療ミスの責任も負わされホームレスとして生きている。過去に自分が命を救い今は聡明な中学生に成長した少年と出会うが、連続殺人犯じゃないかと疑いを持ち始める…。
「人の肉体を殺したら罰せられるけれど、人の心を殺しても罰せられないんだとしたら、あまりにも不公平です」という言葉が深いメッセージとして流れ、それでも最後には救いのあるミステリー小説です。

2008年1月19日土曜日

Mr.クイン



シェイマス・スミスさん「Mr.クイン」
海外の小説ですが、面白かった!
犯罪プランナー「ジャード・クイン」。麻薬王の影のブレーンとして決して姿は現さず、完璧な犯罪をビジネスとして計画する男。
悪を倒すのではなく、善良な人々を次々に陥れ、殺害もいとわない悪いやつ。
本物の悪人。そのやり口は、読んでいて胸糞悪くなるほどです。
そしてクインはずば抜けて頭が切れる。おこうるべき事態を予測して完璧な手をうつ。
不測の事態(クインには不測の事態がありえないのか)にもあわてずに見事やりぬける。
やってることは最悪ですが、頭の良さにしびれる小説です。
面白いと思うのもはばかれるかもしれないが、最高に面白い小説です!

2008年1月14日月曜日

愚か者死すべし



原寮さん「愚か者死すべし」
沢崎探偵シリーズ。さすがです。
原寮さんの沢崎探偵シリーズは全て読んでいますが、今回も期待を裏切らなかった。
沢崎探偵の魅力、ストーリー、どれをとっても満足です。
あまりハードボイルドは読まないのですが、この沢崎探偵だけはかっこいいです。
男の憧れですなぁ。
過去の沢崎シリーズも読み返したくなりました。

誤算



松下麻理緒さん「誤算」
資産家の遺産相続に群がる親族。その資産家の看護のため住み込みで働き始めた看護師。
その看護師も遺産相続に巻き込まれたいくストーリー。
読みやすいですが、ちょと物足りない気もします。
2時間ドラマにでもなりそうなとてもライトなミステリー。

2008年1月5日土曜日

自由死刑



島田雅彦さん「自由死刑」
1週間後の金曜日に自殺使用と決めた喜多善男。自殺するまでの1週間のお話です。
酒池肉林、臓器移植、殺し屋、アイドルの誘拐などありえないことが、その1週間の間におこります。
死ぬこと決めたら、怖いものはなくなるのか…。
「自由死刑」を決めた金曜日から死刑執行の金曜日まで、曜日ごとに話は分けられています。
それまでは、基本ドタバタ喜劇のようで、それなりに楽しく読めたのですが、ちょっとシニカルな最後の章「SOMEDAY」はいらないと思った僕です。